私はロランス

長く付き合って、結婚までして、ってところで急に夫に心は女宣言をされたら誰だって戸惑うっていうかびっくりして混乱する。
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でも、妻は好き。愛しているっていう。一体どんな感情なのかこちら側(妻)としてはわからない。でも愛している人だし分かろうとして一生懸命ロランスの気持ちを読む・探る。一体ロランスらしさってなんなの?愛はあるって言われた以上は伴侶としてがんばるけど。
ロランスらしさを隠さずに出してあげたいけど、わたしとしてはどうなの?

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この2人のぶつかり合いがエゴとエゴの戦いで痛かった。
愛はエゴイズム。きれいごと言ったって自分勝手なのだ。愛は怖い。
ラストシーンで2人の出会いを出すのは反則。いい時代を引き合いにだすなんて!

しかも、ロランス役のメルヴィル・プポーは「ブロークンイングリッシュ」で見て久々胸キュンした俳優なので、よけい奥さんのフレッドに感情移入して見てしまった。
しかしグザビィエ・ドラン監督、この時24歳。若い!
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所々、狂気のシンメトリックや感情のイメージが入るけど嫌みったらしくなく。分かりやすい。
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いい意味でデビット・リンチ的な表現はすごくセンスがないとダサくなりがちだけど全く洗練されてました。
まいった。

グランドブタペストホテル

暖かい映像。映画への深い愛を毎度の事ながら感じるウェス・アンダーソン監督。手作りの洋服や小物を見ている時に感じるあの感覚。今回はかなり完成度高い。シンメトリーもさらなる高みへ。
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舞台であるホテルは30年代から現代へとシーンが変わっていくのだが、繁忙期の30〜40年くらいのきらびやかなこと!優雅なこと。栄華。
そこからの冒険活劇、そしてファジズムの暗い影。
映画への夢と愛、そして狂気がちらちらいりまじり、監督の作品の中では1番ドラマチックなストーリー展開。
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シンドラーのリストナチス将校を演じていたレイフ・ファインズファシズムの渦に巻き込まれていくホテルのオーナーを演じさせてしまうところも映画ファンとしてはちょっと魅力あるしかけ。
最後まで弁護士がジェフゴールドラムって気づかなかった!ウェスマジック!

可愛いだけじゃなく、毒があってやっぱりたまらない。

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ハーケンクロイツに似せてる垂れ幕すら可愛くアレンジしちゃって。。

アクトオブキリング

あの時、友人・知人・恋人なんかに対してひどいことをしてしまった事を洗濯物や洗い物なんかをしている時にふいに思い出しその時は何も感じなかったのに、今になってひどく当事者の気持ちになって心をひどく痛める事は誰しも覚えがあると思う。 私は何者だったのか、何故あんなひどい事ができたのか。周りに言われたから?集団だったから?まわりの人達も同じ行動をとっていたから?

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映画では1965年インドネシアでクーデターが起こり、スカルノ大統領が失脚してから右派が左派の共産党狩りという名の大虐殺を始めた事件を虐殺をした本人たちに インタビューをし、それを加害者側も被害者側も演じて映画にしてください。というお題を与えて、完成するまでをドキュメンタリータッチにして追っていく。

集団やその場の雰囲気に流される事は恐怖だ。

自分を見失い、個人の考えがぶち壊される環境が作られてしまう。

ドキュメンタリーでは共産主義者を片っ端から虐殺していた集団のリーダーのおじいちゃんにスポットをあてながら話は進んでいく。舞台になる村では英雄と周りから讃えられていて、人をどうやって虐殺したのかを笑みをほころばせながら、誇らしげに語り始める。

インタビュー中では、常に誇らしげだし笑顔だったおじいちゃんが、虐殺シーンを演じていくにつれて、表情がくもっていく。それまで口をついて出ていた武勇伝がなくなる。沈黙。それまでとは反対な事をぽつりぽつり言い始める。「殺した人たちの夢にうなされてた」「私を恨んでいるだろう」

過去の気持ちや考え、行動は今振り返って自問自答してもその時の自分のものだ。今自分を責めても取ってしまった行動と結果はもうどうにもならない。だけど振り返って自分自身に立ち返ることで、自分に変化をもたらすことが出来る。

おじいちゃんの心の本質ではこれはおかしいんじゃないか。と疑問に思っていたのではないか。しかし共産主義弾圧という現実がすべての暴力を肯定する。そのアンバランスな現実でバランスをとっていたものが、演技(当事者になる)を通して崩れ自己の考えを肯定する方向に傾いたんではないか。

おじいちゃんは最後は人間性を少しはとりもどせたのか。

ラストシーン、おじいちゃんの後ろ姿が、虐殺した人との思いと生きて行かなければならない赦しなのか後悔の先にあるものなのかやりきれない決意のような印象を強く受けた。

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 しかし、全員悪。アウトレイジか!ってくらい性根が悪いボディーガードのおっさん(映画で女装してるのがすごくマツコに似てる。。)やみんなやってたもん。しょうもないっしょ今更的なひらきなおりおっさんも存在するわけで。これが人間の怖さを増していた。

イメージはおじいちゃん達が完成させた表現映画のラストシーン。ものすごい勘違い創大感でてます。

心理実験のようなある意味危険性をも考えられる映画を試みた監督の勇気に賞賛。

かなり心にずしりとくる映画でした。

 

TOKYO TRIBE

(場面は1994年辺りを想像してもらいたい)

例えば、小さい頃からダンスを習っていて中学生くらいに巷で流行っているヒップホップの方向に向かった子がいたとする。踊りもヒップホップダンスを楽しみ始める。もちろん基礎が出来ているからダンスもうまい。ファッションが徐々にB系に向かっていったとしてもそれは自然な成り行きだと思うし、小さい頃から親しんできたダンスチューンに身のこなしもきっと相まって、客観的にも違和感なく「やっぱりそうきたかふむふむ。小さい頃からダンスナンバーに親しんでいることもあって身のこなしも恰好いい。」と納得すると思う。長年ダンスファッションで教室に通っていることだからきっとファッションセンスもイエローモンキーの呪縛から逃れ、筋金入りのBガールスタイルをいってるはずだ。

それでは、上記と同じ歳の中学生の子が他にいたとする。最近巷で流行っているヒップホップに同じくハマってしまった。まずは楽曲を聞いてB系ファッションを楽しむだろう。でももっと好きになってダンスも始めた。始めて間もないから基礎から学ばなければならない。まだまだへたくそ。練習こそが命。下手だけど熱意は負けない。ファッションセンスもトライしたてだから、へんてこな組わせの時もある。でも大好きだからたくさんコーディネイトしまくってセンスを磨いてやる。

この映画は後者の子を見ている様な映画だった。
 

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園子温監督の映画への情熱は見ていて気持ち良いし、時には感動して泣いてしまう。
しかし、ヒップホップ(全編ヒップホップミュージカル)という特殊な映画を撮るには色々なものが浅すぎたように感じた。
ヒップホップに詳しいわけではないけれど、ヒップホップを語るにはやはりそれなりのセンスとルールとテクニックが必要かも。劇中の俳優のセリフをヒップホップで表現するにはむりやり感を感じるし、慣れてない感があって見ているこちらも照れが入る。でも本物のヒップホッパーのアーティストたちがセリフというラップを紡ぎだすと格段に旨くて俳優との差が歴然としてしまっていた。。ラップって難しいんだなーとしみじみ。たくさん出てくる出演者も最後には一人ひとりの個性も生かせず収集が付かなくなってしまったような印象をうけたので、この手の映画はやはり三池崇史監督が撮りまくっている業績もあって旨いのかしらー。と思いました。
 
見ていて「愛と誠(三池監督ver)」の焼き直しを見ているような感じと「爆裂都市」を思い出したので気になったら美術監督が林田裕至さんという方で、やっぱり上記作品なるほど手掛けていらっしゃいました。(他にクローズやロビンソンの庭なども!)鈴木亮平(アンと花子の人)のカメレオン役者魂はすごいなと感じました~。
 

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あれ?くぼてぃーって歌手。。だったよね。。?
 
 
 

渇き。を見た

昔、「世にも奇妙な物語」のショートストーリーでやたら破壊的で見た事もないような映像の回があってびっくりした。

日常生活の背景もコミック画、登場人物の演技も過剰で異常をきたしている。

自分のママがロボットだったって話。。だと記憶してる。。ともさかりえ麻生祐未が出演していた。最後、綺麗な麻生祐未の顔がロボットとして壊れたような?今では普通の感覚かもしれないが、当時はスピード力の半端ない唐突感にあっと驚いた。

それから程なくして、「濱マイク」でまた”あの唐突感!”の回があった。ドマゾの男(しかも高校教師)がひたすら走りまくる回。「もっと踏んでくれ~」みたいな言葉を叫びながら。。女王様の杉本彩やローズバッドと言われる殺し屋の松方弘樹が出ててこれまたマンガ的展開で面白かった。

それが中島監督だと知ったのは「嫌われ松子の一生」の時。マンガ的展開と”あの唐突感”に長けたミュージカル要素がストーリーの辛気臭さや泥沼展開を助けていて見事エンターテイメント作品に仕上がっていた。

下妻物語」「パコとなんとかの~」はスルーしてしまったけど(苦手な要素が強くて)、この唐突感に乗ったブラックユーモア要素が癖になってしまった。

「告白」では従来のカラフルな絵のタッチからは一変して、黒っぽいフィルムに変わり、不穏な黒沢清ムードも入ったブラックエンターテイメントにしあがっていておもしろく賞味できた。(一部映画評論家さんたちの中では色々言われていたけど)

でも、この監督の映画は一度見たら、あんまりもう一回は見たくない。根底にあるテーマが暗くてけっこうな重さ。たたみかけて来る映像もしかり。

前置きが長すぎた。けど。このイメージのまま原作も話題になった映画だというので久々あの感覚を期待して見たけれど。見たけれど。

感想は一言「恥ずかしい〜」

映像の唐突感がもはや2000年代初頭を引きずっていて、古いよおー!誰もなにも言わなかったのかな。

サントラも「どや」の連続でうるさい。俺の好きな曲どや。大御所になると、自分の意見に偏るもんなのかしら。

それとも私自身が大人になって、懐かしさを感じてしまうからなのかしら。昔だったら好きになっていたのかな。と考えたけどそれは、わからないよ。

話の展開から見ると原作の「果てしなき渇き」はこのミステリーがすごい大賞をとっただけあって面白そうなので非常に残念。

今回も根底にあるテーマが、、と思ったけれど何が言いたいのかわからない映画でございました。


 

 

ブルージャスミン

自分の事をしゃべりまくるタイプの友人てのは必ずいる。

アクセサリーはすべてブランド物に囲まれて安心なんてタイプも必ずいる。

男にまかせっきりで金勘定を彼がいるから大丈夫なんて無責任な輩も確かにいる。

浮気に蓋をしちゃう人も確かにいる。

他人事じゃない話。

誰でもあてはまる話。

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セレブから転落したジャスミンの話は笑えない。女にしろ男にしろセレブじゃなくても人間ならばこの映画の様に誰しもが陥る可能性は十分あるから。

なんて恐怖映画!

破産したジャスミンが地道にがんばって生きていく珍道中をウッディアレンは意地悪〜な目線で徹底的にこき下ろして描いている。ジャスミンに言わせるセリフもなんて意地の悪い数々。。

「。。。ブルームーン。これは主人と出会った時に流れていた曲なの。。」

「そのヴィトンあたしのよ!」

「カリブを思い出すわね。。」

f:id:chicoyakko:20141118131130j:plainんー。夫の仕事の話よくわかんないの。


映画の中だけじゃなく、日常でも一回は聞いた事があるかもはたまた言っちゃったりした?的な恥ずかしい〜セリフ。がたくさんあのケイト様から出てくるもの凄さ。

f:id:chicoyakko:20141118131348j:plain一体誰と寝たらウオッカマティーニが飲めるの!?


すごいね!ウッディ!

そうして気づけばゴシップ記事を読んでる目線になってきている自分!怖い!

ウッディったら女性の悪い部分を映画だけでなく私にまでさらけ出させる気?

もう冒頭部分から震えが止まらなくなっちゃうわよ。

f:id:chicoyakko:20141118131557j:plain畜生!独り言が止まらないのよ!


手持ちの服が無いからブランド物を着回しすぎて映画の後半では汚れたりところどころほつれて行ったりするのが目に見えて分かり、涙誘われたわ。

でもジャスミンてば、モテモテなのに。妹ちゃんもモテるのに。

なんかゆるいというか。おバカなのだ。

金と名声と権力には弱いのだ。

ウッディってば怖い!!

f:id:chicoyakko:20141118131655j:plainえっ?私セレブ諦めてないから。

愛しのアンナ

冬が深まっていく日々、今日なんかはどんよりしたくらい雲で部屋におこもりしたい。

小雨覚悟で朝方外出しましたが、外はひんやりあまり湿度も少なく、けろりとしていました。

冬は気落ち内向的になるもの、先週あたりから部屋の模様替えやクリスマスの飾りつけなど少しづつやりはじめて。気づいたこと。

壁に色々ピンナップするのが、中二の頃から好き。。なのです。いやその行為自体にとりつかれているのかも。ね。

壁に絶対ピンナップしてしまうもの。人物。10年前くらいから変わってない物があり。今回もまたどうしてもそれを飾ってしまう。

ないともはや不安。どこか別の空間に移動してしまったような落ち着かなさ。

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それは「アンナ・カリーナ」の微笑。無表情。この存在が感じられない毎日なんて考えられない。

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